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提出日:  05/31/2007

名前:  Lee Anne  Berryman Whitton

職種:  CAD Manager at Petrofac LLC

見出し 

25年前のエンジニアには想像もつかなかった三次元プラント設計ソフトウェアは、その他の業界に見られるような急速なテクノロジーの発展と同様に大きな可能性を秘めている。


詳細 

プロセス・プラントエンジニアリング業界を完全な三次元化へ


この25年間において三次元プラント設計と解析ソフトウェアは、プロセス・プラントエンジニアリング業界において重要な役割を果たしてきた。近年はその重要性が増し、経済的においてもこれらを使用せずに大規模プラントを建築することは考えられなくなっている。 ここでは、三次元プラント設計および解析ソフトウェアがどのような進化を遂げてきたか、アメリカでのプロジェクト事例を用いて紹介しその利点の検証および今後の開発によって得られるワークフローの効率化について述べる。
初期の三次元プラント設計
二次元CADソフトウェアと比較した場合、三次元CADソフトウェアには複数の利点が挙げられるが、主には三次元モデルが直感的かつ明瞭である - つまり「見た通りのものが結果に反映される(WYSIWYG)」ことである。
にもかかわらず、1960年 - 1970年代に開発された最初のCADソフトウェアプログラムは、エンジニアが素早く図面を作成するための単純な二次元製図プログラムであった。 当初のCADプログラムが二次元に制限されていた理由は3点ある。

  • 早期のコンピュータは三次元モデルを扱うための十分な性能が備わっていなかった。

  • 当時のソフトウェア開発者が、三次元モデルを操作するための効率良いプログラムの作り方を理解していなかった。

  • 従来の製図では二次元が使用されていたため、CADプログラムも二次元であることが自然であった。


二次元または三次元の相対的な利点は別としても、メインフレームコンピュータは非常に高価であり、 早期のCADプログラムはわずかなプロセスエンジニアまたはプラントエンジニアだけに使用されていた。 これが1980年代に劇的に変化した。小型化されたコンピュータの性能は上がり、三次元ソフトウェアが市場に登場し始めた。業界でも代表的な三次元ソフトウェアを開発するCOADE, Inc. (コーエイド社) は1984年に設立されている。

三次元設計の利点
三次元設計を使用することによりプロセス・プラントエンジニアリング業界のオーナーオペレーターとエンジニアリング会社は様々な利点を活かすことができる。エンジニアリング会社はプロジェクトのコンセプトデザインからエンジニアリング、工事まですべての段階においてその利点を認識し、また、オーナーオペレーターも施設管理における委託、運転、閉鎖などの各段階を長期にわたり管理することができるようになる。
コンセプト段階でプロセスエンジニアの意図が間違って解釈された場合、エンジニアリングおよび工事段階における再設計や現場作業のやり直しなどが起こり、結果的にプラントの運転期間中の保全がさらに高額となり、またその有用性を制限してしまう。 これらの起こりうる深刻なミスは、三次元プラント設計プログラムを使用することにより著しく減少させることができる。 例えば、初期段階においてプロセスエンジニアは作成した二次元P&IDのモデル一式をそのP&IDコンポーネントと仕様を含んだ三次元モデルへと変換する。その後にコスト調査のためエンジニアリング会社、製造工場および工事請負会社に送信するとしよう。そのP&IDデータと三次元プラントモデルへの簡単な切替えにより各請負会社はプロセスエンジニアの意図する設計に対する解釈ミスを防ぐことが可能となる。
それは、エンジニアリング段階においては、二次元モデル使用時では検知不可能である寸法入力または解析エラー、またそれらによって生ずる現場での再作業や遅延、運転時に起こりうる機械系の故障なども防ぐことができるからである。 プログラムがプラントモデルを自動的に干渉、衝突、配置などをチェックするため、設計者は配管、機器やサポートなどの配置変更を三次元モデル内で行うことができる。また、設計者とエンジニアの両者が同じ三次元プラントモデルとP&ID内で共有された材料仕様データベースを使用するため、プラントの安全性は向上する。¬ エンジニアが変更の必要な部分を三次元プラントモデル上にマークアップするだけで、自動的にそれに含まれるすべてのグループも変更が必要であると直接設計者に通知することができる。 同様に、共有された三次元プラントモデルのデータベースを使用することでアイソメ図とレイアウトの検証が簡略化され、また詳細なライン毎予測と操作性の検討によって更なる効率化が可能となる。
工事段階においては、三次元プラント設計プログラムを使用することで工事スケジュールの確実な予測や作業期間の短縮化を実現することができる。 複雑な工事も仮想シミュレーションや三次元プラントモデルのウォークスルー機能を使用すると、事前に準備ができ、高額になりうる現場作業や遅延を縮小することもできる。
初期エンジニアリングと工事段階で10倍以上の期間使用されるプラント実稼働段階においては、三次元モデルを使用することにより施設管理員が仮想三次元モデル上で保全手順をシミュレートでき、また三次元モデルデータベースを使用して保全の必要な機器を素早く特定することができる。¬ 同様に緊急時の運転停止や避難時の状況も三次元モデル上で仮想シミュレーションを行うこともできる。三次元プラントモデルが正確であることは、未来の補修作業にも役立つ上、法規制順守検査や法定規制が変更された際 (大地震や災害時の安全性の見直しなど)に実施する再解析においても役立つのである。

COADE社の統合された三次元プラント設計、P&IDと解析

COADE社の主要製品スイートは4種ある。

  • CAESARⅡ - 三次元配管応力解析ソフトウェア

  • PV Elite - 三次元圧力容器解析とファブ用ソフトウェア

  • CADWorx - CADWorx PlantとCADWorx P&ID - P&IDと三次元設計の完全な統合ソフトウェア

  • TANK - 貯蔵容器専用三次元解析ソフトウェア


CAESARⅡは、世界初の三次元配管解析プログラムとして1985年に開発・リリースされたソフトウェアである。 現在、世界中の配管応力解析の80%はCAESARⅡによって解析されたものだといわれている。
PV Eliteは世界初の圧力容器解析プログラムとして1995年にリリースされ、このソフトウェアを使用することにより各容器コンポーネントとすべての容器を自動的に様々な条件(国際的な規定や標準)に従った解析を行うことができるようになった。
同年にCADWorxが開発され、このソフトウェアもまた世界初の完全な三次元プラント設計プログラムとして従来使用されていた二次元プラント設計ツールと同じくらい使用が簡単であると評され、 2008年業界で最も売れている三次元プラント設計ソフトウェアと言われている。
すべてのCOADE社の開発したソフトウェアは情報またはその正確性を失うことなくデータ交換が可能なプログラムである。 例えば、CADWorx P&ID上で作成されたモデルは、CADWorx Plantと同じデータベースを共有、相互参照するため、容易にCADWorx Plant上で三次元モデルとして変換することができる。 同様に、CADWorx Plantの三次元モデルを解析する際にはCAESARⅡ、PV EliteやTANKプログラムへ簡単にモデルを移動させることができる。
以下では、テキサス州ダラス市のプロセス・プラント設計会社 Petrofac LLCの事例から統合型三次元プラントソフトウェアの利点について語る。

全速力で前進 - Petrofac LLC
「1年と少し前まで私たちは、私たちの必要とするソフトウェアを自社で開発しようと試行錯誤を繰り返していました。」とISO 9001の認定資格を有し、ダラス東部100マイルにあるプロセス・プラントの設計士でもある Petrofac LLC の CADサポートマネージャー、ウィットン氏は語る。 Petrofac社は石油生産、石油精製、自然ガスと石油化学製品業界に従事する会社である。「私たちはソフトウェアの問題点や不具合の改善に時間を使い続けており、設計業務にも支障を与えていました。 そのような時期に、CADWorxソフトウェアの噂を耳にしました。」
それからPetrofac社はAutoCADディーラーのECADに状況を打ち明け、三次元設計アドオン・ソリューションCADWorxについての情報を得た。「ECADは、当社の数十年提携するAutoCADディーラーですが、CADWorxをとても熱心に薦めてくれました。 私たちは、CADWorxがAutoCAD環境で使用するソフトウェアであり、AutoCADと同じコマンドとユーザ座標システム (UCS)も使用できることを知りました。 弊社の設計士もAutoCADの使い勝手の良さに驚いていました。
CADWorx/P&IDは、通常短期間で作成しなければならないプロジェクトのP&ID図面を生成する際非常に便利です。¬ 初めは製図パッケージがシンプルに見えたのですが、実際に使用することでその機能の奥深さや柔軟性 (シンボルのカスタマイズ,データ,設定ファイルのカスタマイズ使用など) に感心しました。¬ また、CADWorx からCAESARⅡへの双方向性リンクにより自社開発ソフトウェアにはない利点と他社製品と比較しても最も正確性の高い自動アイソメ図作成機能を得ることができました。
弊社では配管スプールの製造もしているため、自動アイソメ図はPetrofacにとって特に重要な機能です。 図面の寸法はもちろんのこと、材料表もまた製造工場用に正確でなくてはなりません。 この貴重な情報は、製造工場チームの手にわたり彼らはそれを元に作業します。」
Petrofac社は、COADE社のプログラムを複数採用し、配管設計用にCADWorx/P&ID、コントロールシステム設計用にCADWorx/Loops、配管応力解析にはCAESARⅡ、圧力容器解析にはPV Eliteなど使用目的に合わせていましたが、Petrofac社が CADWorxを初めて使用したのは、アメリカ西部に位置する硫黄回収プラントプロジェクトでした。 ウィットン氏は「以前にソフトウェアで失敗した経験を持っていたので、確かに私たちは少し緊張気味でした」と話す。 「大きな変更を加える際はいつでも、懸念していました。 しかし、CADWorxを使用することでそれらの問題がなくなりました。 プロジェクトは今までにない速いスピードで進み、生産性が即時改善されました。
私たちのビジネスでは、ソフトウェアの問題やワークフローに影響を与えるような問題に時間を費やすことはできません。このような速いペースで進む環境では常に生産性が問われ、CADWorxには私たちの必要とするすべてのツールが備えてありました。 過去に使用していたその他のソリューションでは、結果を検証するために問題を避けて通ったり説得したりして作業を進める必要がありました。
現在ではCADWorxを使用することにより、早い段階から問題に取り組むことができるようになりました。 設定のカスタマイズでは、私たちの必要な設定を簡単に設定、維持することができます。
「CADWorxは業界ソフトウェアとして優れたものであり、Petrofac社の設計チームもこのプログラムの方法論を理解することができた」とウィットン氏は言う。 「どのソフトウェアも特定の会社だけのために開発されたものではありません。 ユーザとして、どのソフトウェアがどうのように自分の会社にとって一番の有利性があるのかを判断することが必要です。 弊社の場合では、すべてのものがどのようにしてカスタマイズ化できるのかを理解することとどこに情報が保存されるのか、またどの部分を触ればいいのかが重要でした。 私たちにとって、CADWorxは従来使用していたものに比べ容易かつ生産性の向上につながるソフトウェアであったと言えます。
「CADWorx P&IDは、その他の設計グループ用にデータベース情報を提供することがとても簡単にできます。コントロールシステム部署がP&IDデータベースにシェルをリンクするだけでよいのです。 P&IDのプロジェクトデータベースのデータの動的な流れに直接リンクするだけで出入力[I/O]のチェックが容易になります。今後はプロジェクトデータベースの更なる使用方法を追求し、私たちのデータとその他のグループのデータから共通のプロジェクト情報を共有できるようにする統合方法を研究する予定です。」
Petrofac社がテクニカルサポートに連絡することはほぼなかったが、COADE社にサポートの電話をした時にはうれしい驚きがあったという。 「COADE社に連絡した時に、まさか自分が実際にソフトウェアを開発した方からサポートをしてもらえるとは思いませんでした。¬ その開発者は以前は配管設計のスペシャリストであったということで、業界にも精通した方でした。 ほとんどの問題はその日のうちに解決することができました。
また、弊社の海外オフィスのサポート対応にも優れており、私たちはCADWorxを採用したことに大変満足しています。
更なる先を目指して
プラント設計ソフトウェアは、二次元CADをメインフレームとしたものから今日の完全に統合された三次元設計/解析スイートに至るまで大きく発展して来ました。 Petrofac社のようなプロセス・プラントエンジニアリング会社にとって COADE社のようなソフトウェア開発会社のプログラムを使用して作業することは非常に重要となってきています。 しかし業界全体を三次元化へと導くにはまだ課題があります。

これから先10年の間に、プラント設計/解析ソフトウェアには強化するべき3つのエリアがあります。

  • ベンダーのソフトウェア間のデータレベルの統合

  • 「人工知能」の追加

  • エンタープライズレベルのプロジェクト管理とコラボレーションシステムとの統合


今日のプラントソフトウェア開発会社の中でも、COADE社は業界ソフトウェアの開発すべて(プロセス設計、プラント設計、配管応力解析、圧力容器解析、貯蔵タンク解析と圧力容器製造)を網羅している。 これにより、ソフトウェア間のシームレスなデータ交換が保証され、設計者とエンジニアの時間を節約し、作業のクオリティへの向上にその貴重な時間を費やすことができます。 残念なことに、複数のベンダーが一般的なフォーマットで三次元モデルを作成しないため異なるベンダー間での三次元モデルの完全な移動は現段階においては不可能であるのが現実だ。 この問題を解決すべく様々な業界グループにより「ISO 15926」と呼ばれるプラントデータの標準化が求められています。 このグループの最終目標は、すべてのベンダーがプラント設計/解析ソフトウェアからプラントモデルデータをISO 15926 標準フォーマットで出力または入力し、異なるベンダー間での完全なデータ交換を可能にすることです。 今後、ISO 15926はプラントモデルデータのシームレスな交換による情報の保管記録を促進する上で発展する標準フォーマットとなり、三次元プラント設計ソフトウェアベンダーは少なくとも2-3年後には出力/入力形式にISO 15926を加えることになるでしょう。
近年では、定年退職などによるプラント設計エンジニアの減少問題への対処に向けたソフトウェア開発も進んでいます。 若年層のプラントエンジニアに知識や経験をできるだけ早く習得できるよう 現在、COADE社ではテクノロジーを利用し経験不足なエンジニアのワークフローの効率化を向上すべく、短い時間で多くのことができるようなソフトウェア開発を行い、 また、COADE社の業界知識と経験を最大限に活かし、製品に人工知能を搭載することでどのレベルのエンジニアにとっても彼らのスキルや経験を高めることができるようなソフトウェアを目指しています。 例をあげると、伸縮ループ設計では素早く良い設計をするためには何年もの配管応力解析の経験が必要とされています。 配管ライン上で熱膨張による二次破壊を軽減するためにどこに伸縮ループを設置すればよいかを決定することは容易ではありません。また、最適なループサイズや湾曲の数を決定することは難しい問題です。 配管応力解析ソフトウェア、CAESARⅡにはCOADE社のCEOであるヴァン・ラーン氏 (Tom Van Laan)の30年にわたる配管応力解析経験が備えられています。経験の少ないエンジニアでもCAESARⅡの「ループ最適化ウィザード」を使用して素早く簡単に最適な伸縮ループを設計することができます。 COADE社は今後のCADWorxにもこれらを統合し、配管設計者でもこれらの高度な解析ツールが使用できるような開発を行って行く予定です。 設計と解析のソフトウェア間の境界が薄れていく中、数年後には設計者にも解析力が問われるようになっていくと思われます。
その他には、三次元プラント設計システムとプロジェクトコラボレーション、エンタープライズデータ管理システムとの統合が更なる強化が予想されます。¬ また近未来には三次元CADの使用が急増し、同じ数のデータ会社が出現し、会社内におけるデータの重要性とその管理が必要となります。ISO 15926 の最終的な目標はデータフォーマットの標準化であるのはもちろんのことですが、共にソフトウェアベンダーの自立の促進とプロセス・プラントエンジニアリング業界の製品ライフサイクル管理(PLM)のためのデータ管理の重要性を訴えています。

25年前のエンジニアには想像もつかなかった三次元プラント設計ソフトウェアは、その他の業界に見られるような急速なテクノロジーの発展と同様に大きな可能性を秘めている。


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